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大阪高等裁判所 昭和34年(ネ)618号 判決

判  決

守口市京阪本通二丁目一八

控訴人

三洋電機株式会社

右代表者代表取締役

井植歳男

右訴訟代理人弁護士

高橋武

神戸市兵庫区下沢通六丁目二

被控訴人

山陽自転車株式会社

右代表者代表取締役

西村博

右訴訟代理人弁護士

大白慎三

大白勝

主文

原判決をつぎのとおり変更する。

被控訴人は「サンヨー」及び

「Sanyo」並びにこれらと類似の商標を自転車及びその部分品に使用してはならない。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、主文同旨の判決を求め、

被控訴人は、「本件控訴を棄却する。控訴費用は控訴人の負担とする。」との判決を求めた。

理由

控訴人が左記商標権を有することは被控訴人の認めるところである。

(二)控訴人の基本商標

登録日登録番号、大正八年一一月六日第一〇九一一九号

指定商品、第二〇類各種タイヤ一切

構成、(サンヨウタイヤー」の片仮名文字を左から右へ横書し、その下方にこれと並んで「THE SANYO TYRE」の欧文字を横書して成る。)

(一)(二)を基本とする聯合商標

登録日、いずれも、昭和三〇年八月一九日

指定商品、いずれも、第二〇類自動車自転車、自動自転車、人力車、小児用車、航空機、電気運搬車、トロリー自動車、荷車及びこれらの各部分品、自転車錠、警声機、警鈴機、自転車及び自動車用マスコット、自転車の後尾につける商識

(イ)登録番号、第四六八三八九号

機成、「サンヨー」

(「サンヨー」の片仮名文字を左から右へ横書して成る。)

(ロ)登録番号、第四六九二一号

構成、「三洋電機」

(「三洋電機」の漢字を左から右へ横書して成る。)

(ハ)登録番号、第四六九四二二号

構成、(「Sanyo」の欧文字を尻上りに横書し、且つこれに字を斜に「N」引伸したような形のアンダラインを附加してなる。)

被控訴人が左記商標権を有することは、控訴人において、明らかに争わないから、自白したものとみなす。

(一)被控訴人の基本商標

登録日、登録番号、昭和一八年一〇月八日第三五九七八七号、指定商品、第二〇類車輛、船舶、その他運搬用機械器具及びその各部(但し各種タイヤ及びその類似商品を除く)

構成(「サンヨウ 」の片仮名文字を左から右へ横書し、末尾の「ウ」の第三劃の筆端を通常の位置で終わしめないで「サンヨ」の文字を取囲むように引伸してその円周たらしめた構成。)

(二)  (一)を基本とする聯合商標

登録日、登録番号、昭和二七年一一月一八日、第四一八五二二号

指定商品 前同

構成「サンヨー」

(「サンヨー」の片仮名文字を左から右へ横書して成る。

被控訴人が「サンヨー」「Sanyo」「サンヨー」等の商標をその販売にかゝる自転車及びその部分品に使用していることは、被控訴人において、明らかに争わないから、自白したものとみなす。

ところで、自転車用タイヤと自転車及びその部分品とは、その用途において密接な関連を有し、同一の店舗で同一の需要者に対し販売されるのが通常であるから、商品の出所混同を防ぐ法の目的に照し、自転車及びその部分品は、控訴人の基本商標の指定商品である「第二〇類各種タイヤ一切」の商標法にいわゆる類似商品であると解するのを相当とする。

よつて、控訴人の基本商標権の保護の範囲は、自転車及びその部分品に及び、被控訴人の基本商標権及び連合商標権及び連合商権は自転車及びその部分品にその効力が全く及ばないものと認められる。

つぎに、被控訴人の使用する「サンヨー」「Sanyo」等の商標が控訴人の基本商標の商標法にいわゆを類似商標であることは明かである。

被控訴人は、「控訴人の商標権を有する商標権を有する商標又はその類似商標を被控訴人が使用しても、同時に被控訴人の商号及び被控訴人の商標権を有する商標を併記しているときは、控訴人の有する商標権に基く差止請求権はない。」旨主張するけれども、被控訴人独自の見解であつて、採用できない。

被控訴人主張の先使用権の抗弁は、控訴人の基本商標登録出願前よりの先使用を主張するものではないから、採用できない。

よつて、控訴人の本訴請求は、正当として、これを認容すべくこれと同旨でない原判決を変更し、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用し、主文のとおり判決する。

大阪高等裁判所第八民事部

裁判長裁判官 石 井 末 一

裁判官 小 西  勝

裁判官 岩 本 正 彦

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